読み切り掲載後、ネット上で話題になり、そのままの勢いで雑誌連載が決まった本作
ボーボボと同じパターンだなぁ・・・編集部の方にもよほどの反響が寄せられたのだろうな・・・
雑誌連載が終了したとのことで、全巻まとめて読んでみた
私は、だいたいマンガ一冊一時間ほどで読み終えるペースの人間なんだが
一巻を読み終えるのが長い・・・一ページが重かったな・・・
以下、感想
この作品で、注目したくなるのが、タイトルにも関連してくるヒロインが聴覚障害者・・・ということで、私が読む前にも、そこが主題としての大きな部分と思い読む進めたが
すべて読み終えると、私はそれより「いじめ」をテーマとした青春漫画だというところの方に着目したい
現実問題として、イジメは必ず存在している、あちこちに存在する
けれど、イジメというのは汚いものであり、目にしたくないものだ
だから、存在するのに、漫画作品においては…特に青春を扱ったモノ、それも週刊誌という場にはふさわしくなく、よくボカされた表現や、まったくないことにされてしまいがちだ
輪からはみ出す人間は必ずいる、そのとき、好か嫌かどちらか振るいかけられる
そして、嫌に振るい落とされる人間もかならずいるのである
聴覚障害者を扱った作品としてのほうがウェイトを重くして喧伝されているように思えるが
正直言って、聴覚障害者なんてのは、私には・・・多くの人には馴染みのない存在だろうな
それが、もう一つのテーマである誰もが言葉を濁すけど実在するイジメというテーマを絡ませることで、非常に理解しやすく、感情移入出来る作品になってると思ったんだ
イジメというのは、作中ほど酷いのは稀だとしても、誰もが見たり薄っすらと感じたことはあるんじゃないのかな
別に、聴覚障害者の部分を軽く扱ってるって意味じゃないよ
むしろ、手話で表現にページを割いて、聴覚障害者とのコミュケーションの難しさ、伝わり難さというのにとても、神経を割いているな感じたよ
恋愛劇としの当作品は物語中盤に早々に決着している、だってどっちも認めてるんだもん
後半になってくると、話も複雑になり、負い目を感じて行動し続けてきた将也だけど
硝子も大きな間違いを起こしてしまう
そこからは僕の頭のなかもぐちゃぐちゃだ、単純に将也が悪いことをしてしまっただという構図ではなくなった
巡り巡って、回り回って、硝子も将也に大きな傷を負わせてしまった
この後はもう、家族関係も含めて、どっちが悪いというような、そんな関係でもなくなってしまったように思える
そこからは、視点が各キャラクターらに移る
共感できる部分も、出来ない部分も、好きなキャラクターも、そうでないキャラクターもいるけれど
イジメをした人、された人、やっぱり漫画作品としてのキレイ事もあるのだけど・・・
しっかりと皆、成長してくれたのはよかったかな、面白かったな
とても良い漫画であった
植野直花について
小学生のときから片思い、大きくなった今でも好意を持っている・・・というのはもう、テンプレ的なヒロインの経歴だよね
怖いけど
感情に任せて突っ走って、後から大きく後悔していたりと、人間味があって結構好きなキャラクターだ
彼女は硝子にあなたなんかがいなければという
健常者という常識の中で、耳が聴こえない・・・そう宇宙人が居た
彼女らしい、傲慢な言ではあるし、物語を読んでいると(将也の視点からだと)反感を覚えるような台詞でもあるが、もっともだとも思うのだ
ネットを見ていても、2chではツイッターのことを、バカッターと馬鹿にしたり、実名を出すFacebookを愚かだといったりしているが
つまるところ、SNSごとの特性によってすみ分けがされてる
恋愛絡みでの思うところもあるんだろうが・・・
植野直花の言は、その住み分けが出来なかったとことへの苦情だ
住み分けは必要で、大事なことで、彼女の様な宇宙人が居なければ、たしかにみんな幸せだったのかもしれないと思うのだ
将也の視点からにも共感するのだが、植野直花の言も理解するし、間違っていなく、むしろ正論だと思うのだ
竹内先生も、特別支援学級への進路を薦めていたな
冷たいように映るが、「大人」な「教職員」として、しっかりと「業務」は行っている人間に彼は見えた
いろいろと考えると複雑な思いになる
この物語はあの結末でいいのだし、得たものは尊い、だからきっと間違っていない
ただ・・・そう、西宮硝子がいないという未来(物語の否定)も、きっとそれなりに幸せだったんろうなと思うんだ
・・・こんなことを思う、自分は冷たいやつなんだろうが・・・
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