小説版「CARNIVAL」著:瀬戸口廉也 読了感想@負の連鎖は終わらない、あまりにも相応しく予想通りの悲しい結末でした

まずはじめに言い訳をば

カーニバル原作をプレイしたのはだいぶ昔だ、その上で、今更小説版(二次元ドリームノベルズ版)を読んで感想文となる

だから、だいぶカーニバルについての詳細なストーリーがあやふやな部分があってトンチンカンなことを言うかも知れないが勘弁して欲しい

にしても、このノベル、瀬戸口廉也名義としては唯一の小説ではなかろうか

最近は唐辺葉介名義で活動している

CARNIVALに小説版・・・アフターストーリーがあったと聞いたのはそれがキッカケだ

伝説的エロゲーライター瀬戸口廉也と同一人物らしいぜ!とか聞いて昔買ってからに、ずーっと押し入れに寝かせてた(引っ越しの時も処分しなかった)唐...

先ほど読み終えて、自分でも何故かよく分からないほどの読了感を覚えてしまい、まだこの物語をイマイチ消化しきれていないのだが、この気持ちを覚えているうちに感想文を書いておこうか

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小説版を持ってしてCARNIVALは本当の結末を迎える

瀬戸口廉也名義で出された作品は3つ、S.M.Lから販売された今作「CARNIVAL」「SWAN SONG」「キラ☆キラ」

恐らく、一番、有名なのは一番スケールが大きい、瀬戸口廉也作品の中では大作と言っても良いSWAN SONGだろうが、彼の作家として方向性というか、瀬戸口廉也らしさというのが一番出ているのはこのCARNIVALではないだろうか

CARNIVALと言う作品はとにかく終わっている

マイナスから始まる物語だ(瀬戸口廉也作品はだいたいそうだが)

殺人を犯し、警察から逃亡中・・・物語の開始から既にバッド・エンドしか見えてこない

いや、それだけじゃあない、物語を進めていくと、事件の前から既に彼と彼女の日常には行き詰った未来しか見えてこないのである

そして、クソッタレの最低で異常な日常から、明日をも見えない非日常へと逃亡して終えるのがCARNIVAL本編だ

つまるところ、CARNIVAL本編というのは、起承転結の転を示す作品であり、起承を語る作品であり、絶望的な結から目を背けている物語でもある

しかし、あれはあれで完結していると思っていた

だが、今作品は、本編から七年後…彼と彼女の逃亡・・・非日常の末・・・そして関わった人々らの結を示す作品だ

なるほど、CARNIVALという作品の物語はこの小説を持ってして本当に終わっている

なんで、僕はこの本を知らなかったのだろう

本作物語概要と主人公・ヒロインについて

物語はメインヒロインである、理紗の弟、洋一が過去の姉が犯した事件をとあるキッカケから調べ始めるところから始める

つまり、彼はこの作品の狂言回しの役を担い、事件その後を彼の目線から負い、彼と彼女の非日常とその終わりへと辿り着く構成だ

昔の事件には・・・そういえば、そんな奴もいたっけかなぁ・・・程度のキャラクターで実際に、ほとんど関係していない人物なので、かなり説明的に進んでいく

原作を知らない人にもある程度理解できるようにしているようで、本編を熟知している人間には、余分に感じられる部分もあるだろうが、だいぶ記憶が薄らいでいた自分には助かる進行方向だったかなぁ

まぁ、直後に読んでいたら、もっとその後について語って欲しいとか思うのだろうが

こいつが本作の主人公でネクロフィリアだなんて、瀬戸口らしい濃い味付けはされてるものの、いまいち存在感は薄い

あと、ヒロインに新たにサオリという子が置かれる

このサオリと言う子は、メインヒロインである、九条理紗を想起させる生い立ちの子だ

でありながら、まったく正反対のキャラクターとして描かれる

なんというか・・・別にバトルものではないのだが、このCARNIVALの世界観において最強の称号が相応しい人物に思える

たぶん、この二人を通して、この小説版CARNIVALでも、何かを語ろうと瀬戸口氏はしたのだと思うが、結局、最後の方ではCARNIVAL本編のその後語り終えるためにページが割かれ、何を伝えたくて存在したキャラクターなのかよく分からなくなってしまったなぁ

結局のところ、本小説はCARNIVALの結末を語る本だよな

以下、本編ヒロインについてのその後の雑感

高杉百恵(婦人警官)について

本作中に登場してこないが、サオリが助けられたと言っていた元婦人警官というのはこの人なんだろうなぁ・・・

正直、本編でもどんな役回りだったか全然覚えていないので、そう考えれば相応しい立ち位置なのだろうか

察するに、それなりに幸せに生きてるんじゃないだろうか、たぶん

志村 麻里(妹)について

成長して学園生になっている

姉に酷いことをしたと事件と関係者を憎んでいる

事件の被害者側にして、それなりの立ち位置があった人物なので、進行役2みたいな立ち位置になってるなぁ

渡会泉(友人)について

成長して、社会人として出版社勤め、街からも離れている

学と理紗のその後を心配している

本編では、彼女との歩むルートもあったはずなのだが、彼と彼女を取り巻く環境について、それくらいの知識しかなかったんだっけか・・となんか悲しくなった

けど、たしかに、あのルートというのはメインヒロインである、九条理紗を切り捨てることで辿り着く物語でもあったはずだから、彼女と歩む物語ではそんなものなのか・・・

彼と彼女の結末を見届ける一人

志村詠美(いじめっこ)について

全ての今までが明らかにされたとき、彼女ばかりに責任があるわけでもないのだが

CARNIVAL本編という転の物語のキッカケになる人物だろう

彼氏である、ミサワは死に(殺され)、生き残った彼女ではあるが、相応の・・・いや何を基準に相応と言うべきなのか、分からないが、悲惨なその後を送っていることが作中で語られる

・・・学園のヒロイン的に存在って設定なのになぁ・・・いや、それは理紗も同じか・・・

彼の最後を見届ける一人

出番はないのかと思ったが、最後に少しだけ登場、二言だけセリフがある

一体彼女は、何を思い現れたのだろうか・・・

九条香織(理紗の母)について

逃亡した理紗のことは心配している

本編で、どんな立ち位置だったかもう覚えてないが、理紗が父親に性的暴力を受けている事実は知っている模様

理紗が逃亡した、本質的な事件については、まったく触れようとはせず、どこか日和見的な印象を受ける

木村学と九条理紗の結末について

未来が見えないというのは、上手く言い換えると希望があるとも言える

しかし、マイナスで終えてしまった本編の続きは、やはりマイナスで終わってしまう

7年・・・よく持ったなぁ・・・と思う、むしろあの結末から、上手くやったとすら思う

しかし、元々か、心が壊れていた彼は本当に終えてしまう

事件の関係者のその後は悲惨だ

彼と彼女の間にも、せめて子供が入るのなら・・・そんな物語としてはありきたりで安っぽくはあるけど、それでもたしかに感じる救い、そんな道すら否定されてしまう

そんな彼に与えられたせめてもの救いとは、世界は素晴らしいと、幸せに死ぬことが出来たことである

かくして、理紗は明日をも見えない非日常は終わりを告げ、クソッタレの最低で異常な日常と帰っていく

悲しいなぁ…悲しい

虐げられた彼らの、周りを巻き込みながらも選んだ(選ばざるおえなかった)、その選択の末がこれなのかと・・・

何故、逃亡したのか・・・そのことを斟酌せずに、父は昔と変わらず、見たいものしか見ていない、何も変わっていない

母も恐らく、娘としての愛してはいるのだろうが、それでも日和見的な態度を取っていくんだろうと伺える

ただ、7年の歳月が無意味ではなく獲た物、理紗にとっての救いがあるとすれば、そんな家族と闘う勇気が芽生えたことだろう

この物語の最後は、人はいつか死ぬことと、何か残すことで締めくくられている

学が唯一残せた物があるとしたら、きっと形すらない、これだけなんだろうね

そしてね、僕は思うんだよ

これは本当に救いなのか、結局のところ、これだって、周りを巻き込んでも彼女が選んだ(選ばざるおえなかった)、選択なんじゃあないかってね

理紗の家庭っていうのは、理紗が居ない間、彼女抜きで普通にやってきたはずなんだよ

もちろん彼女が居る限りにおいては正常とは言いがたいし、暗いものを隠している家庭ではあるのは間違いないけど、理紗の弟である、九条洋一を見ているとそのはずだ

そして、その選択の末には、彼女の家庭の破滅しか見えてこない

破滅的な選択を続けてきた今までと、何ら変わりない

だとしたら、とてもCARNIVALらしい終わり方なんのかもしれない

彼女は一人残され、それでも選択し続けていく

結局のところ、負の連鎖は止まらず、マイナスはマイナスのまま続いていくのかもしれない

せめて、彼女に人並みの幸せが訪れますように

あとがきについて

たった一ページのみの、瀬戸口氏のあとがきのページがある

ほとんど(というか最後の一文)がなければ、小説とまったくない瀬戸口氏の昔語りなのだが、なんというか、あまりにもらしい、あとがきで、なんだか笑ってしまった

プロローグについて

読後にもう一度読むと、木村学の遺書の内容がこれだということに気付いた

結局のところ、自殺という選択肢を選んだのに、理紗に対しては強く生きて欲しいと望むのは、理紗を九条家に帰す方法として、これを選択したことも含めていささか無責任じゃなかろうかね

世界は素晴らしい、そのことに最後に気付けたものの、既に後戻りできない所まで、頭のなかが壊れていたのはわかるけどさ

自分でも行っていたとおりに、美しい物はそのまま変わらずそこにあるの、なのに、最後の最後まで、そのありのままの世界を見せてくれなかったのだから、頭の中の住人はたしかに、学が望むこととは逆のことをしていたのだろうなぁ